平成19年度、富山紛争調整委員会によるあっせんの事例


 以下の事例は、富山紛争調整委員会で実際に取り扱った事例を、個人のプライバシー等に配慮して脚色したものです。個別労働紛争解決制度をご理解いただく際の参考にしてください。


事例1:勤務時間を減らされ退職勧奨されたことについて、補償金を求めたケース

  申請労働者は正社員であったが、勤務時間・勤務日を一方的に減らされた上、退職勧奨された。このため、その精神的・経済的損害について補償金の支払を求めるあっせん申請を行なった。

【あっせん結果】
 事業主側は、申請人の私病を配慮して勤務時間の軽減化をはかったが、申請人の病状から継続勤務困難として退職勧奨したもので、また、会社が連絡をとっても連絡が取れないまま休む申請人の状況では懲戒解雇とせざるを得ないことを主張し、申請人の主張とは食い違っていた。しかしながら、双方ともあっせんによる解決を強く望んでおり、あっせん委員の調整により、申請人は普通解雇として退職金を支払われることで合意が成立した。

事例2:有期雇用契約終了の予告が14日前であったことについて、補償金を求めたケース

  申請労働者は、有期雇用契約を更新し1年以上継続勤務してきたが、契約期間満了日の14日前に雇止めを通告されたため、解雇では30日以上前の予告が義務付けられており、それと同等のあと16日間の予告不足について補償金の支払を求めるあっせん申請を行なった。

【あっせん結果】
  事業主側は、雇止めの経緯をあっせん委員に説明し、また、「有期雇用契約の締結、更新及び雇止めに関する基準」(平成15年厚生労働省告示第357号)に沿った予告をしていなかったことを認めた。このため、あっせん委員が和解金額について調整し、平均賃金の16日分を支払うことで、当事者の合意が成立した。

事例3:強制的に退職届を書かされ辞めざるを得なくなったことについて補償金を求めたケース

  申請労働者は服務心得違反の疑いを掛けられ、店長から強制的に退職届を書かされ急に辞めざるを得なくなったため、補償金の支払を求めるあっせん申請を行なった。

【あっせん結果】
  事業主側は、あっせん委員に対し、服務心得違反の疑いを掛けた理由の説明をし、退職届は申請人の自筆で書かれているが、店長の言動が誤解を招いた可能性があり、補償金について調整を行なってほしいとの主張であった。このため、あっせん委員が調整し、申請人も服務心得違反を疑われたことに非があることから、当初要求してきた補償金の半額で合意が成立した。

事例4:社内トラブルがあるため、別の職場への配置転換を求めたケース

  申請労働者は、同僚とけんか・トラブルがあり、別の職場への配置換えを会社に申出たが、退職勧奨を受けたので、配置転換を求めるあっせん申請を行なった。

【あっせん結果】
  事業主側は、申請人が過去からのトラブルで既に配置転換を複数回行なっており、これ以上配置転換できる職場が無いので、退職勧奨での離職を主張しており、申請人の主張と相容れなかった。しかしながら、双方があっせんによる解決を求めたため、あっせん委員が調整した結果、申請人は勧奨退職に応じ、所定の退職金と補償金の支払を受けることで合意が成立した。

事例5:口頭約束による退職金の支払いを求めるケース

  申請労働者は、途中入社に際し、会社から退職時に満足の行く退職金を払うと言われて、十数年間勤務した。ところが、実際に退職すると会社側からは定年延長者として功労金5万円だけの支払であり、以前聞いた話と違うので、退職金の支払いを求めるあっせん申請を行なった。

【あっせん結果】
  あっせん委員が当事者双方から紛争に係る事実について事情を聞いたところ、申請人側は60歳定年経過後、特に勤務割・賃金体系の変更が無く、定年延長者ではなく通常労働者としての退職金規程の適用を主張し、事業主側の定年延長・再雇用者の主張と認識が異なった。しかしながら、あっせん委員の調整により、事業主側が通常労働者に準じて退職金を支払うことで合意が成立した。